接客の担当者が最低限知っておきたい、外国人を不快にさせる8つのタブー行動

訪日観光客や外国人労働者が増える今、お店や各種サービスにおいて外国人を相手に接客する機会も増えているのではないでしょうか。
外国人たちはそれぞれの文化や価値観を持っており、それらを理解していないと、悪気がなくても知らないうちに相手を不快な思いをさせてしまう可能性があります。トラブルを防ぎ、お互い気持ちよくコミュニケーションをとれるよう、最低限覚えておきたい8つのタブーをご紹介します。
頭をなでるのはNG!(タイ)
タイでは、人の頭には精霊が宿るとして、一番神聖なところだと考えられています。そのため、むやみに人の頭を触ってはいけません。愛情をもって子どもの頭をなでることはタイでも日常的に行われているようですが、接客の際は相手が子どもであっても、気軽に頭に触れるのは止めておきましょう。
なお、日本では接する機会はあまりないかもしれませんが、タイの僧侶は神聖な存在で戒律も非常に厳しいため、女性が僧侶の体や衣服、持ち物に触れることは禁止されています。
左手で物を渡すのはNG!(タイ/ヒンドゥー教)
タイでは、左手は「不浄」とされています。そのため、タイ人に物を手渡す時や手を振る時などは右手を使いましょう。人を左手で指差すような行為は非常に失礼になります。
一方、インドやネパールを中心に信仰されているヒンドゥー教にも不浄の考え方がありますが、男女で異なり、男性は左手が、女性は右手が不浄とされています。ただし、食事の際は男女ともに右手を使うようです。
なお、イスラム教では、食事等には右手を使うことが推奨されていますが、左手が不浄というわけではありませんので、混同しないように注意しましょう。
宗教によって食べられない食材がある!(イスラム教/ヒンドゥー教)
イスラム教では「豚」が不浄とされているため、豚肉だけでなく豚エキスが含まれた食品などもすべて食べることができません。またアルコールも禁止されています。イスラム教徒にお酒はもちろん、アルコールが使われたメニューや調味料(みりんや醤油など)をすすめることはNGです。
なお、食べ物ではありませんが「犬」もイスラム教では不浄と考えられています。イスラム教徒の中には極端に犬を怖がる人もいるため、店頭に犬を置いている場合などは気をつけておくと良いでしょう。
一方、ヒンドゥー教では「牛」が神聖な動物であるという理由から、牛肉を食べることが禁止されています。また、基本的に殺生を避けたいと考えるため、ヒンドゥー教徒にはベジタリアンが多いと言われています。
もし、宗教上の理由などから食べられないものがあるかを尋ねたい場合は、
“Is there anything that you canʼt eat?”(あなたが食べられないものは何かありますか?)
と聞いてみましょう。食べられないものを事前に確認しておけば、思わぬトラブルを防ぐことができるでしょう。
中国人夫婦の奥さんの外見を褒めるのはNG!(中国)
相手と親しくなりたいと思って、相手や相手のパートナーを褒めることは日本で日常的に行われますが、中国人夫婦の奥さんを「きれいですね」などと褒めるのはNGです。中国では、「外見を褒める=異性として興味を持っている」と捉える習慣があるため、純粋に奥さんを褒めたつもりでも、「自分の妻を狙っているのではないか」といった誤解を夫に与えてしまう可能性があります。
褒めたい場合は、人柄など、外見とは違う面を取り上げるようにしましょう。
上下関係を尊重し、失礼のないように!(韓国)
韓国では儒教の教えが根づいているため、年齢、男女差、上下関係など、立場の違いを意識して行動する習慣があります。そのため、例えば目上の人の前でタバコを吸うことはあまりしません。お酒を飲む際も、目上の相手の目を堂々と見ながら飲むような行為は失礼にあたり、少し顔をそむけて口元を手で隠して飲むのが一般的です。
また、飲みかけのグラスにお酒を注ぐのも基本的にNGです。日本ではグラスが空いてしまう前に注ぎ足す方がよしとされますが、韓国人に対しては、グラスが空いてから新しいお酒を注ぐようにしましょう。
手を挙げるときは注意!(ドイツ)
日本では、タクシーを呼ぶときや店員さんを呼ぶ際、右手をあげる行動を自然にとりますが、ナチス敬礼と言われる右手をまっすぐ挙げるポーズはドイツ人にとって特にタブーです。ドイツ国内では、ナチスを想起させるものは法律で禁じられているほどです。言わずもがな、戦争やナチス、ヒットラーに関する話題も避けましょう。
イギリス人=Englishではない!(イギリス)
イギリス(The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland:グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドによって構成される多民族国家です。
英語の授業などでは「イギリス人=English(man)」とひとくくりにして暗記したかもしれませんが、Englishは「イングランド人」という意味です。スコットランドやウェースズ出身の人に対してEnglishと呼ぶと不愉快に思われたり、相手のプライドを傷つける場合があります。区別せずにイギリス人(英国人)を表現するにはBritish(ブリティッシュ)を使いましょう。
注意したいハンドサインとは?(各国)
特に英語に自信がない人は、外国人のお客さまとのコミュニケーションにジェスチャーを多く使っているかもしれません。その際に気をつけたいのがハンドサインです。欧米では中指を立てる仕草がNGということは日本でも常識になりつつありますが、そのほかにも、国や宗教によっては、相手を不快にさせてしまうハンドサインがあります。
日本人がよく使いがちなハンドサインの意味を覚えておきましょう。
OKサイン
OKサイン(親指と人差し指で丸を作る)は、英語圏ではそのまま「OK!」の意味ですが、フランスでは「ゼロ、価値なし」、ブラジル、トルコ、スペインなどでは(性的)侮辱として捉えられるので注意しましょう。
(下向きの)手招き
日本では「おいで」の意味で習慣化している、下向きの手招き。これは英語圏では「あっちに行け!」という逆の意味を持ちます。英語圏での「おいで」は、上向きの手招きで表現されるので、お店でお客さまを誘導する際などは注意しましょう。
サムアップ
「いいね!」の意味でよく使われるサムアップ(親指を立てる)ですが、タイでは幼稚な「あっかんべー」の意味を持ち、イムラム教やギリシャなどでは侮辱に当たるので、相手によって使い分けることが必要です。
なお、本記事の冒頭にある女の子の写真ですが、日本では「NO」「ダメ」などの意味で、腕で大きくバツを作りますが、この動作は海外では特に意味を持たないので通じません。