国や文化が違えば、「色」に対する解釈も異なります。たとえば日本では「白」は“潔白”や“清楚”といったイメージが強いですが、白に対してネガティブなイメージを持つ国や宗教もあります。
このような違いは、歴史的:宗教的背景のほか、目の色や太陽光なども影響していると言われています。
そこで今回は「色」に関する日本と海外の違いを取り上げてみました。
実際は緑色なのに“青”信号なのはなぜ?

信号の色は世界共通で定められており、「進め」は緑色と決められています。確かに日本の信号も緑色〜青緑色をしていますが、日本では「青信号」という呼び方をします。
実は、日本で最初の信号機が日比谷交差点に設置された1930年当初は「緑信号」と呼ばれていました。しかしその後に新聞記事などで「青」と書かれたことから、「青信号」という呼び方が定着していったとのことです。また日本では古くから、緑色のものを「青」と表現する習慣があることも影響しているようです(青リンゴ、青汁、など)。
「青信号」という呼び方は、外国人にとっての日本の不思議の一つのようです。英語では“green light(グリーンライト)””green signal(グリーンシグナル)”と表現します。”blue light”ではまったく通じないので気をつけましょう。
「赤い太陽」は世界では少数派

日本のみなさんは、太陽の絵を描くときに何色を使いますか? 子どもの頃に描いた絵を思い出してみると、きっと多くの人は赤や濃いオレンジ色を使っていたのではないでしょうか?
実は、太陽を赤色で表現するのは世界的に少数派と言われています。赤を使うのは日本とタイくらいで、多くの国や地域では「太陽=黄色や白」というのが一般的な考え方です。確かに、実物の太陽を見れば、白や黄色の方が近いですよね?
日本で“赤い太陽”が定着した明確な理由はわかりませんが、日の丸のイメージや、明るい(あかるい)→赤、日本は湿度が高いため赤っぽく見える、といった諸説があります。
絵画の中で太陽を何色で描こうとその人の自由ですが、社会の中での記号として使う場合、例えば天気予報の晴れマーク(太陽)が赤いのは、外国人の方にとっては違和感を覚えるかもしれませんね。
また、「虹」の色の数え方も国や宗教によって異なります。たとえば、アメリカやイギリスでは6色、フランスやドイツ、中国では5色、ロシアや東南アジア諸国、イスラム教では4色で表されます。日本で定着している7色という概念は、ニュートンの理論に基づくもので、世界でも学術分野では7色と定義されています。
なお、LGBTの象徴であるレインボーフラッグは6色で構成されています。

色に対するイメージ
冒頭でも触れたように、国や宗教によって、色に対して抱くイメージが異なります。そこで最後に、主な色の意味をご紹介します。
赤 |
日本 |
めでたい 興奮 怒り 愛 |
欧米 |
要警戒 共産主義 |
中国 |
ナショナルカラー 情熱 幸運 春節 献身 |
ヒンドゥー教 |
高貴 |
イスラム教 |
愛 |
ピンク |
日本 |
かわいい 性的表現 |
欧米 |
健康 同性 |
黄色 |
日本 |
幸福 楽しい 活発 |
欧米 |
裏切りもの 臆病 |
中国 |
皇帝の象徴 卑猥 |
ヒンドゥー教 |
尊敬 僧侶の色 |
緑 |
日本 |
癒し 安全 エコ |
欧米 |
若い 未熟 毒 怪物 嫉妬 不気味 |
中国 |
不貞 |
ヒンドゥー教 |
愛 |
イスラム教 |
国の繁栄 聖なる色 |
白 |
日本 |
神聖 清楚 潔白 |
欧米 |
降参 負け |
中国・ヒンドゥー教 |
葬式 不吉 死 |
黒 |
日本 |
負 葬式 |
欧米 |
高価 優雅 |
中国 |
負 暗黒社会 |
ヒンドゥー教 |
怒り |
タイ |
不運 不幸 |
(参考:http://www.ryutsu-shisatsu.com/article/15264486.html)
例えば、日本ではトイレのサインを「男性:黒または青、女性:赤」で示すケースが多いですが、実はこのような色の組み合わせは海外ではほとんど見かけません。ジェンダーを色で表現するのは日本独特の習慣と言えそうです。
一方タイでは、曜日ごとに色が決まっています。毎日、その曜日の色のものを身につけたり、自分が生まれた曜日の色をラッキーカラーにして生涯大切にする習慣があるそうです。面白い文化ですね。