あなたは答えられる?キリスト教のカトリックとプロテスタントの違いとは

世界の宗教

キリスト教には多数の教派が存在しますが、その中でもっとも規模が大きいのがカトリック(Catholic)とプロテスタント(Protestant)です。
どちらも一度は耳にしたことがあると思いますが、その違いはどこまでご存じでしょうか? 今回は、カトリックとプロテスタントの主な違いをご紹介します。

(注:厳密には、プロテスタントは様々な教派に分かれているため、「プロテスタント諸派」と記載するほうが正確ですが、本記事では便宜上、プロテスタントという表記で統一しています。)

キリスト教とは

まずはキリスト教について、簡単におさらいしておきましょう。

キリストが教典としているのは、皆さんご存じの「聖書」です。聖書は、旧約聖書と新約聖書で構成されており、旧約聖書はイエス・キリスト誕生前の、新約聖書はイエス・キリスト誕生後の出来事が描かれています。

またキリスト教において特に重要なのが「三位一体」という教義。
「父(神)」
「子(イエス・キリスト)」
「精霊」
の3つがまとまって「神」という存在になるという教えです。実はこの「三位一体」という言葉は聖書には出てきておらず、またこの概念を正しく理解・教えることは非常に難しいとされていますが、キリスト教を象徴する極めて重要な言葉なので、覚えておくと良いでしょう。

なお、言わずもがなですが、私たちの日常生活において、3つのものが一体となって機能することを「三位一体」と称することがありますが、その語源はキリスト教の三位一体から来ています。

カトリックvs.プロテスタント

それではいよいよ、カトリックとプロテスタントの違いについてご紹介していきます。

この両者が生まれた経緯ですが、16世紀のヨーロッパにおいてカトリック教批判が起こり、いわゆる「宗教改革」という形で、プロテスタントがカトリック教会から分離しました。プロテスタントという呼び名は「Protest(抗議)」から来ています。

そのため、カトリックとプロテスタントは、前章でご紹介した基本的な部分は共通しているものの、分離後は様々な面で違いが生まれていきました。その一例をまとめたのが下の表です。

カトリック プロテスタント
組織 ヴァチカンのローマ教皇を最高権威者として、司教、司祭、助祭という三つの位階があり、ピラミッド型階層構造を成している。 全体を統括するトップは存在しない。多数の教派があり、組織それぞれが独自の活動をしている。
聖職者 神父は聖職者として一般信徒よりも一段高いところにいて、信徒を統括する立場にある。聖職者にも序列が存在する。女性の神父はおらず、神父は結婚できない。 聖職者は全員「牧師」であり、一般信者と同等の立場と考える。そのため、厳密には聖職者ではなく「教職者」と称される。牧師は結婚でき、ほかの職業との兼業も可能。女性の牧師もいる。
教会 豪華絢爛で、像や絵画なども多数飾られている。
司教の椅子がある教会を大聖堂(カテドラル)、それ以外を教会(チャーチ)と呼び、教会にも序列がある。
十字架とオルガン程度の質素な内装が一般的。
十字架 イエス・キリストがはりつけられている形が一般的。 シンプルな十字架のみ。
祈り 額、胸、左肩、右肩の順番で十字を切る。 教派や教えにより、祈りや儀式の方法はさまざま。
儀式 「ミサ」と呼ばれる儀式は基本的に世界共通の流れで進められる。歌は「聖歌」と呼ばれる。 日常的に行われる「礼拝」は教会や牧師によって自由な形で執り行われる。「賛美歌」を重視する傾向がある。
マリア様について 「聖母マリア」として信仰の対象。 神聖化はせず、あくまでひとりの女性という認識。

教会を比べてみよう

プロテスタントは「聖書」を何よりも大切にしており、イエス・キリストが聖書の中で説く清貧さをよしとしています。したがって、下の写真のように豪華なカトリック教会と違い、シンプルな内装が特徴的です。

▼ カトリック教会(左)とプロテスタント教会(右)の一例

欧米などを旅行する際、観光地として教会を訪れる人も多いですが、その多くは様々な装飾が施された煌びやかな教会ではないでしょうか? それらはつまりカトリック教会であることが今回おわかりいただけたと思います。
今後、国内や海外で教会を訪れる機会があったら、今回ご紹介したような違いを実際に感じてみると面白いのではないでしょうか。

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