年齢も性別もわからない履歴書?――アメリカの就活・採用事情

すべての企業が一斉に採用活動をスタートさせる。リクルートスーツを着て、きれいに撮った顔写真を履歴書に貼る――。
日本ではこのような就職・採用活動のスタイルが定着していますが、海外ではまったく違うようです。今回はアメリカにおける採用・就職活動についてご紹介します。
なぜ写真を貼ってはいけない?
就職活動に欠かせない履歴書。中途の転職活動では職務経歴書とともに履歴書を企業に提出しますが、アメリカでは履歴書と職務経歴書の内容を網羅する「Resume(レジュメ)」を用意することになります。レジュメに関しては、日本の履歴書のように標準的なフォーマットが存在しないため、応募者は自分自身の強みやキャリアを売り込むために、各々書き方に工夫をこらします。
また日本では一般的になっている履歴書への写真貼付ですが、アメリカではレジュメに写真を貼ることが禁止されています。さらには、性別や人種、生年月日、未婚/既婚も書いてはいけないことになっています。これは選考における差別を防ぎ、あくまでその人のキャリアやスキルだけで採用を判断するためです。様々な人種がひとつの社会で共存し、かつ人種差別という根深い問題が存在しているからこそのルールと言えるでしょう。
新卒でも即戦力として期待される!
日本には、新卒の学生を一括採用し、OJTや研修などを通して長期的に社員を育てていくという習慣がありますが、アメリカはご存じの実力主義社会。新卒であっても即戦力としての働きを求められ、学位や資格、活動実績などで厳しく選考されます。そのためアメリカでは、学生たちが就職活動を有利に進めるために積極的にインターン活動を行っています。
就職?それとも就社?
アメリカには、日本のような終身雇用という慣習がありません。働く人にとって重要なことは、「企業に長く雇用される」ことではなく、「自分の価値を高く売る」ことです。そのため、自分の価値をより高めることができそうな場や機会を求めて転職することは一般的であり、転職に対してネガティブなイメージはありません。
また、社員は業務内容やそれに対する報酬を記した労働契約書を通して、ギブ・アンド・テイクの関係を会社との間で築きます。そのため、異動辞令により「やりたい仕事」ができなくなる、あるいは「やりたい職」が無くなれば、「やりたい仕事」「やりたい職」を変えるのではなく、それができる「場所」を変える、すなわち転職しようと考えます。
日本では終身雇用を前提としているため、社内異動(=社内「転職」)が当たり前のように行われています。場合によっては本人の希望が聞き入れられず辛い思いをしながら働き続けるといったケースも聞かれますが、このような働き方はアメリカの人には理解しがたいところがあるようです。