今年ももうすぐ!「旧正月」や「春節」を正しく知ろう

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旧正月(春節)の時期に、中国を中心とするアジア圏の人が多く日本を訪れることはよく知られていますが、その理由を知っていますか? そもそも旧正月って何?春節とどう違うの?という知識と合わせて、インバウンドビジネスが盛り上がる旧正月について学んでいきましょう。

そもそも旧正月とは?

旧正月を理解するには、まず「旧暦」を知る必要があります。
旧暦とは月の満ち欠けに基づいて作られた暦のことで、陰暦とも呼ばれます。これに対して、現代の私たちが使っている新暦(=太陽暦)は、太陽の動きを基準として作られています。日本でもかつては旧暦を用いていましたが、1873(明治6)年1月1日に新暦を採用してからは、現在のカレンダーに則って社会が回っています。

なお太陽暦は1582年、当時のローマ教皇グレゴリウス13世の命により、それまで使われていたユリウス暦に代わって制定されたグレゴリウス暦が元になっています。キリスト教主導で作られた暦だったため、各国での採用はキリスト教国から段階的に広まっていきました。例えば中国は1912年に、ギリシャは1923年に、サウジアラビアでは2016年にと、意外と最近に導入した国もあるのです。

そして旧正月とは、旧暦における新年元日を意味します。
旧暦では1年が354日しかなく、365日ある新暦とはズレが生じます。そのため、旧正月の日付は毎年1月下旬〜2月下旬の中で変動します。2019年の旧正月は2月5日(火)です。

アジアを中心にお祝いムードの春節

日本では「旧正月」という呼び方が一般化し、もはや祝賀の対象ではなくなっていますが、今でも旧暦の習慣を大事にしているアジア諸国では、「春節(Spring Festival)」という呼び名で新年のスタートを盛大にお祝いします。
なお中国や台湾、華僑の人たちは春節(元日)のことを英語でChinese New Yearと言いますが、歴史的背景から韓国や北朝鮮、ベトナムなどではLunar New Yearを用います(※lunar:月の)。

春節を祝う主な国の祝日は以下の通りです。

中国:旧暦大晦日から7日間
韓国:旧暦大晦日から3日間
香港やシンガポール:旧暦元日から3日間
ベトナム:旧暦大晦日から4日間
インドネシアやフィリピン等:旧暦元日のみ

祝日の日数を見ても、中国がいかに春節を重視しているかが窺えます。中国国内のみならず、世界中に住んでいる華僑の方達も春節を盛り上げます。日本国内にある中華街などで開催される賑やかなお祭りを見たことがある人も多いことでしょう。

▼ 日本でもよく知られる台湾のランタン飛ばしも春節のイベントのひとつ
lantern

変わりつつある中国の春節の姿

中国人の春節の過ごし方について、もう少し詳しくご紹介しましょう。

旧正月の日付が毎年変わることは前述の通りですが、中国では毎年12月に翌年の春節の祝日や振替出勤日が発表されます。事前にある程度予想はつきますが、公式にはわりと直前に決まるのです。

そして中国の人たちは縁起が良いとされる赤色や金色の飾り付けを施し、年が明けた瞬間に大量の爆竹を鳴らして派手にお祝いします。しかし、この爆竹が大気汚染を引き起こすという理由で禁止する動きが一部地域で起こり、そのニュースは当時日本でも大きく取り上げられました。

また、大晦日の夜には家族全員が集まるという習慣があるため、都会で働く若者たちが田舎の実家に帰るために一斉に移動することになります。それが毎年大混雑を引き起こすため、最近では実家に帰らずに国内外の旅行に出かける人が増えているのです。春節の時期に中国人観光客が増える大きな要因です。それに加えて、帰省するたびに「結婚はまだか?」と聞かれるのが嫌になり、実家に戻らずに旅行を選ぶ人が増えているという説もあります。

爆買いの次を見据えて

かつては、春節に訪日する中国人観光客による「爆買い」に注目が集まりましたが、現在はだいぶ落ち着いて来たようです。その主な理由としては、中国政府が海外で購入した商品に対する関税を引き上げたことと、通信販売(越境EC)が増えたことで中国国内にいても日本の製品を買いやすくなったことが挙げられます。

買い物の代わりに、中国人観光客は、「コト消費」を求めるようになったとも言われています。中国人の文化やスタイルを正しく理解した上で、日本らしいおもてなしや体験を提供することが、今後ますます重要になるのではないでしょうか。

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