インバウンド客の心を動かす要素とは?宿泊施設への口コミ分析から判明!

世界最大のクチコミ・プラットフォームを提供するTrustYou (トラスト・ユー) 株式会社が、過去2年間のビックデータから分析した、「外国人に選ばれる!クチコミ高評価の日本の宿 2016 – 2018~インバウンド客の心を動かす要素は、心のこもったおもてなしだった!~」総合&6言語別(英語、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語、タイ語)ランキングを発表しました。
▼ 総合30位、および言語別10位までのランキングはこちら
http://resources.trustyou.com/c/reviews-by-different?x=l7G5Dk
また同社は、対象6言語で書かれた口コミ内容とスコアを分析し、外国人に高く評価される日本の宿の特徴として、次の3つの要素を挙げています。
【サービスへの評価】
ハード面(大規模で設備等の整ったラグジュアリーな宿、グレードの高いラグジュアリー系ホテル)よりも、ソフト面でのサービスが重視されている。多言語対応、サービスのフレンドリー度、ホスピタリティ、スタッフとのコミュニケーションを求めている外国人が多い。
【日本的な建築や客室への評価】
和風建築や日本らしい雰囲気を感じられる客室や空間など、日本ならではの体験への評価および満足度が高い。歴史ある古民家や京都市内に現存する京町家などを活用したゲストハウスや小規模な和風旅館をはじめ、日本の伝統美と欧米のスタイルがコラボした和モダンなデザイナーズホテル等への関心が高い。
【立地は最重要視される要素ではない】
ランキング上位の宿の中には、好立地ではない施設も目立つ。例えば、京都市内中心部には数多くの宿があるにも関わらず、主要駅や人気エリアから離れた場所にある宿に外国人が集まっている事例がある。便利なロケーションよりも、「サービス」などの他条件が重視されているともいえる。
【公益財団法人日本交通公社 中野文彦 主任研究員による解説】
TrustYou(トラスト・ユー)の分析データの上位に、ゲストハウスやコテージが多数入っていることに驚きました。従来、日本の宿泊施設は、日本人客を対象に施設、風呂、食事等の改修やサービスの改善に注力してきた傾向がありますが、外国人が高く評価したのは、そうした面よりも、オーナーやスタッフとのコミュニケーション、そして長期滞在に向いた環境(朝食のみのサービス・キッチンやランドリーの整備等)といった面だということがこのランキングから読み取れます。このことは、小規模の宿泊施設にとっては、大きな投資はしなくとも、逆に小さい規模の宿である利点やスタッフ等の強みを活かすことで顧客の心を確実につかむサービスができる、そして訪日外国人向けの宿泊事業が成り立つという大きな期待を抱く調査結果と言えます。一方、大規模なホテルや旅館にとっては、訪日外国人に対して今後どのようなサービスに注力すれば予約増加に繋がるのかを示唆する結果と言えるのではないでしょうか。
我が国を訪れる外国人は年々増加し、2017年の1年間で2,869万人に至り、2018年12月には初めて3,000万人を突破し、過去最高を更新しました。観光庁の調査によると、訪日外国人の旅行消費額は国内観光消費額の16.5%、額にして4.4兆円に達しています。訪日外国人の来訪動向は、地方における宿泊業にとっても日本人の宿泊客減少を外国人客が緩和している傾向も見られる等、地域経済活性化への好影響が期待されています。自社施設の強みは何か、外国人にも選んでもらえる施設とは?サービスとは?そして狙うべきターゲットはどの国や地域の客にするべきか等、クチコミデータの分析によって得られる情報は、宿泊施設の規模や所在地にかかわらず、すべての宿泊施設にとって今後益々重視されることになるでしょう。